内定バブルが採用基準をぼかしている
就職活動の売り手市場ということやリーマンショック以来の売り手市場等と言われると、就職活動をする学生さんや親御さんにとっては、いい会社に行けるという期待が膨らむことでしょう。
しかしこの状態というのは学生さんにとっていいことだと誰が決めつけたのでしょうか。
景気というのは浮き沈みがあるというのは、みなさんがよく知っていることです。
プラスマイナスゼロになるということを考えると、いい時もあれば悪い時もある。
悪い時もあれば、いい時もあるわけで、それが運命の分かれ道になることもあります。
今は新卒採用も中途採用も好景気に沸いているため、求人が多数出回っています。
これがリーマンショックが起きた直後ではどうだったでしょうか。
私もエージェントから人事にキャリアチェンジを考え始めた時代です。
当時エージェントとして活躍していましたが、リーマンショックで求人ストップが連発。
懐深く入り込んでいた企業でいい人がいたら、推薦をしてくださいという程度。
顧客との信頼関係をしっかり構築できていた企業でさえも採用には消極的でした。
有効求人倍率が当時は0.7倍と低水準であり、採用をするよりかはリストラか、早期退職者の希望を募っている状態だったことを思い出します。
新聞紙面も大手優良企業が早期退職者を募集とか、リストラという記事が多かった。
現在はアベノミクスの恩恵もあり、好景気に沸いている状態です。
有効求人倍率が1.4倍まで回復をしており、日経平均株価も2万円3千前後になっています。
この状態はあと半年はつづくといっても過言ではありません。
政治不安が起きると景気が悪くなる傾向があります。
また、解決金法案が次期通常国会で成立してしまうと、
正社員が安泰という時代は終わってしまうでしょう。
転職をするのであれば、2020年までと言っている理由はコレです。
解決金法案が成立、施行をされてしまうと、雇用が流動化することになり、シニア層、ミドル層が大量に失業をする可能性があるからです。
東芝の件を見ていると、そうなるのも時間の問題だろうと感じています。
40代、50代になると年収がピークになる年齢層であり、終身雇用、年功序列のおいしい時代を知っている人たちである。
給料は右肩上がり、年齢がある程度になるとポストが用意されて管理職待遇になるのが当たり前だった時代。
2010年後半になって好景気の時代に入社をしたのはいいけど、20年後、30年後には働かないおっちゃんとか言われてしまったり、解決金法案が成立、施行されてしまうと解雇しやすくなるため、常にオーディションをうけているような気持ちになるだろう。
働かないおっちゃんと言われてしまう世代は、護送船団方式で国家の成長とともに頑張ってきた人たちのため、目標を見つけることができればいいのですが、考え方を常にアップデートしていなかったため、会社に貢献をしてもらえない、役割が終わったと思われるとリストラの対象になってしまうというのが時代の流れである。
バブル期に入社をしている人たちというのは、考え方、思考力が甘いという特徴があげられる。
この時代に出ている人は能力的にも怪しいことがよくある。
大手企業病とも言える、おいしいところは自分の手柄にして、実績をアピールする人が多くいたりします。
プレイングマネージャーではなく、マネージャーというより、ただの管理職という言葉が正しいかもしれませんが。
2010年中頃から売り手市場に変わってきた新卒採用で入社した人たちも、社畜になるとかいう人がいたりしますから、もしかしたらこのパターンに入るかもしれません。
また、この局面では採用活動が大雑把になり、数の理論が優先される時代です。
2020年度の新卒採用がピークになる
リクルートの統計を見てみると採用活動解禁から5ヶ月での内定数値が異常値になっています。
前年と比べても7倍となっていることがおかしな数値になっていることでしょう。
ここ数年でも多くの学生に内定が乱発されているという異常事態であることを採用担当者は認識をしていません。
これだけの好景気によって採用内定を出すという時期は、2020年の採用をピークに、景気が更に良くなり、雇用が流動化することになれば、良化することはありそうですが、現在の世界情勢、政治の情勢などを見てみると、お先真っ暗の中を暗中模索しながら、新しい光を探している状況ですから、数年から数十年は無い状況になるでしょう。
人材の流れというのは実経済が良くなってから半年から1年ぐらいのタイムラグがあります。
悪くなる時は実経済と同時に起きるのですが、良くなる時はタイムラグが定石です。
就職活動は内定を取るためのゲームという認識が多くなりはじめていますが、最終的には入社を決めるのは1社のみですから、業界研究や企業研究が不足しているまま、内定をもらっているというのが現状ではないでしょうか。
だから、内定ブルーという言葉が一時期流行ったように、ほんとうに正しい選択だったのかわからないまま、自分探しの旅に出てしまったりすることがあります。
正解はないのですから、そこで社会人の基礎を身につけることが出来る環境かどうか、自分としてもワクワクしながら仕事が出来る職場なのかなどということを、しっかりと調べておく必要があるのではないかと感じています。
新卒の退職面談をしているときによく言われた言葉は、会社説明会や内定者懇談会で聞いていた内容と違うことが大きな原因ですという人がほとんどだった。
人事からすると、ネガティブなことは言えないし、騙したということはなく、仕事の厳しさなどについても、入社3年未満の若手社員を通してきちんと話をしているから、違うだろうッて思うことも多々ありました。
しかし、企業も新卒に期待していることがあり、新卒も企業に期待していることがズレてしまうと、組織の理論だとか、根性論で説き伏せる事はできないということに気付いた瞬間でした。
年代によって考え方が違うこと、育ってきた環境が違うことなどを加味せず、先輩から受け継いできたことを先入観と思い込みで持っていて、無意識のうちに踏襲をしてしまっていたことを反省しなければいけないと。
さらにこの時代に入社をした求人広告の営業さん、エージェントさんは信用できないということです。
私がエージェント業界の門を叩いたのが2004年の人材業界が変革を迎える時期でした。
その当時は医療関係者に対する紹介予定派遣が解禁された時代であり、今はなくなってしまった、クリスタル、グットウィル、フルキャストなど、独立系人材派遣会社が急成長をしている時代でした。
紹介会社も手数料が25%から30%に上がっていった時代であり、いろいろな企業が人材ビジネスに流入する時代でした。
その時の営業さん、キャリアコンサルタントの人は今でも活躍をされています。
年間3000万、4000万円の売上をあげていた人もいらっしゃいましたが、今の時代に大エースと言われる人たちがいなくなってしまいました。
今とは違って、当たり前のことをバカにせず、ちゃんと出来る人が多かった。
細かいフォローとポイントを得た対応の仕方は、今のエージェント業界ではほとんどいません。
急造してつくった若手のエージェントが多くなり、荒れた状態といえるでしょう。
面接数を増やすこと、内定をもらって入社してもらうことがエージェントの肝ですが、推薦数を増やすことだけに目がいってしまっているエージェントが多い。
面談数をこなすことがポイントになり、評価を下げないためには、対面以外にもSkype、Hangout、電話などコミュニケーションが取れる方法で、面談をこなしていくエージェントも増えてしまったというのが現状でしょう。
生産性と売上至上主義になってしまったことで、営業の基本を忘れた人たちがエージェントをやっているから、求人広告が年がら年中出しっぱなしの企業もあるぐらいです。
エースを育てることは簡単ではありませんが、エースを1人作ることができれば管理職としては成功です。
2番手、3番手というのは要領がよく、ずる賢い人が続いてきますから、チームとして戦力アップをすることはできるでしょう。
いろいろと脱線をしてしまいましたが、内定をたくさんもらっているからといって、安心をしないほうがいいと思います。
浮かれてしまうことで問題の本質を見抜くことができないから。
入社を決める前にきちんと業界研究と企業研究をしておくことを忘れないで下さい。